先日、maneoマーケット株式会社主催のmaneo、LCレンディング、ガイアファンディング、クラウドリース、アメリカンファンディング5社合同説明会に行ってきました。場所は東京国際フォーラムです。
maneo (マネオ)
まずは、maneoの瀧本憲治社長の登場です。
私は、三橋貴明氏との対談の動画をYouTubeで見たことがあったので、「あ、本物だ!」と思いました(笑)
余談ですがこの動画はなかなか面白いです。やはり、国の借金1000兆円は嘘だったのだと確信しました。
さて、セミナーの話に戻ります。瀧本社長は、投資家が抱きがちな疑問について率先して説明しているという印象を持ちました。
たとえば次のような疑問です。
申し訳程度の貸付金額5万円の謎
「なぜ、maneoのローンファンドは2案件がセットになっていて、片方は貸付金額が5万円なのか?」
これは、東京都の貸金業対策課に「借り手が特定できないようにしてほしい。借り手が2社以上なら、片方の金額が少なくても良い。」と言われたからとのことです。
法人での投資について
maneoは法人の投資家も受け付けています。所得が多い個人が法人化して投資しているそうです。ソーシャルレンディングは総合課税なので、所得が多い人にとっては所得税率が高いですからね。
1億円以上投資している大口投資家も存在しています。夢が膨らみますね。
ソーシャルレンディングでの法人化についてはこちらの記事で解説しています。
マイナンバー登録は必要?
maneoはマイナンバーを登録しなくても投資できます。
maneoとしては登録をお願いする努力はしているそうですが、必須ではありません。
証券会社で投資をしている方は2018年12月末までにマイナンバーを登録しないといけないそうなので、ソーシャルレンディングもこれと合わせてくるかもしれませんね。
分別管理してるの?
maneoのお金と、投資家から預かったお金をどのように管理しているか?ちゃんと分けているか?という話です。
証券会社がやっているような金銭信託は当局から求められていないので実施していません。
銀行内でバーチャルに口座を分けることで、投資家から預かったお金を誤って社員に給料として支払うといったことがないようにしているそうです。
maneoファミリー*の各会社が分別管理をしているかどうかは、maneoがちゃんと確認しているそうです。
* LCレンディング、ガイアファンディング、クラウドリース、スマートレンド、アメリカンファンディング、グリーンインフラレンディング、さくらソーシャルレンディングといったmaneoプラットフォームを使用している会社たち
C社って?
maneoのローンファンドの借り手に「C社」という会社が出てくることがあります。これは瀧本氏が社長を務めるUBIfinanceという会社だそうです。
ちょっとここの仕組みはよく分かりませんでしたが、一旦、この会社が資金を借りることがあるそうです。
期限内に投資先が見つからなかったとかそういうパターンなのでしょうか。
なぜ銀行から借りないのか?
借り手が銀行ではなくmaneoから借りる理由として以下の理由を挙げていました。
- 銀行は、経歴が浅く決算書が3期分ない会社には貸してくれない
- 銀行の審査が長い
- 銀行は転売案件や地上げ案件には貸してくれない
- (銀行が求める)ストーリーがないと貸してくれない
- 銀行は開発案件には貸してくれない
- 瀧本氏も老人ホームを作った時に貸してくれなかったとのこと
保証について
maneoは借り手の業務内容や実績・財務内容を確認したり、社長と面談したりして審査を行っています。
最近はmaneo社内での融資基準が厳しくなり、maneo社員は説得のための資料作成などに苦労しているそうです(笑)
ちなみに瀧本氏が言うには、社長個人に保証能力がないため、社長の個人保証というのはほとんど意味がないそうです。
投資家構成は?
人数にすると1%程度しかいない投資額3000万円以上の層が、金額で見ると18.5%を占めています。
ソーシャルレンディングはどこの業者も大口に頼る構図だと言っていました。
maneoの過去 P2Pレンディング
maneoは2011年に瀧本氏が買収しました。maneoは、以前は個人が個人にお金を貸し付けるP2Pレンディングを行っていましたが、買収されたことを機に法人への貸し付けに転向しました。
日本でP2Pレンディングで成功した企業はありません。やはり個人はちゃんと返さなかったりするようです。
ねずみ講(ポンジースキーム)なの?
ちなみに、maneoはねずみ講(ポンジースキーム*)はやってないそうです。仕組み上、やろうと思えばできますが、そんなことをすれば社員が辞めちゃうそうです(笑)
maneoファミリーには多くの会社がありますし、全ての会社が共謀するなんてことは現実的にできないので、ねずみ講をやっていないという点については安心かなと思いました。
* 事業の実体を持たず、投資家から集めたお金を別の投資家に分配する仕組み。理論的には、いつか必ず破綻する。
ガイアファンディング(GAIA FUNDING)
ガイアファンディング代表取締役の倉石 灯(くらいし あかり)氏の登壇です。
倉石氏の「暗いし、明かり」との冗談が炸裂します。
氏はテキサスにあるダラス大学でMBAを取得しており、テキサスが不動産投資に向いている理由を熱弁されていました。
不動産投資先としてのアメリカの魅力は次の通りです。
- アメリカは先進国で数少ない人口増の国である
- 人口が増えれば不動産の需要が増えて値上がりする
- アメリカには公正な取引ルールがある。
- 新興国の取引は騙し合い
- 市場が透明であり、情報公開がされている
- 誰でも他人の家の家賃や間取りを知ることができる(!)
- 新興国とは異なり、アメリカにはカントリーリスクがない
- トランプ大統領が不動産王なので、不動産業が伸びる政策を行う期待がある
さらに、テキサス州の魅力として以下を挙げていました。
- アメリカの中心に位置し、どこにでも行きやすい
- ダラス・フォートワース国際空港は世界第3位
- 中南米でトップの港を持つ
- テキサス州だけで、韓国、カナダ、オーストラリアといった国よりGDPが大きい
- テキサス州は住民投票の結果次第でいつでもアメリカから独立できる権利を持つ
- 州税がなく、連邦税のみ申告の対象
- フォーチュン500のうち10%の企業の本社がテキサスにある
- トヨタも北米本社をカリフォルニアからテキサスに移す
また、ガイアファンディングの魅力は以下です。
- ガイアファンディングのファンドは全て円建てなので、(直接的には)為替リスクがない
- 担保の70%までしか貸さない (Loan To Value 70%)
テキサス不動産への投資は税制上もメリットがあります。
まず、木造不動産は海外であっても22年償却なので、築22年を超えていれば4年で償却できます。さらに、テキサスの土地:建物の比率は2:8程度なので、不動産価格の8割÷4年=2割を毎年償却できることになります。
テキサスでは築100年の木造家屋が売買されているくらいですから、築22年超えの良質な物件を見つけることは難しくありません。
そのため、日本の高額所得者が即決で買い漁っているそうです。
ただ、海外木造住宅の償却については、改正の議論がされていて今後はできなくなる恐れがあるとのことでした。
アメリカンファンディング(AMERICAN FUNDING)
アメリカンファンディングの角内 創社長はアメリカ出張中とのことで、代わりに営業の方がいらしていました。
ガイアファンディングと説明が重複するらしく、短めに切り上げられたのが好印象でした。(ガイアファンディングの人がアメリカ特にテキサスについて熱く語りすぎたようです…)
同じ話を何度も聞かされても困りますからね。
ガイアファンディングとアメリカンファンディングの違いがよく分からなかったので、聞いておけば良かったです。
どちらもアメリカの不動産に投資する会社です。ガイアの方はテキサスを推していましたが、アメリカンファンディングはもう少し他の地域にも投資しているようです。
クラウドリース(Crowd Lease)
クラウドリースの武谷 勝法社長の登場です。
武谷社長はmaneoの瀧本社長と10年来の付き合いだそうです。
クラウドリースは元々はリース会社で、飲食店への貸し付けに強みを持っています。最近は減ってきたそうですが、パチンコ店への貸し付けも多いそうです。
クラウドリースの顧客は
- 銀行が多くを貸してくれない
- 審査が遅い
といった理由で、銀行ではなくクラウドリースで借りるそうです。
他の債権者に売上金を押さえられるリスクを避けるため、融資先の会社の売上を一度LLP(有限責任投資事業組合)に入金させ、そのお金をクラウドリースへの返済に回す、といったスキームを使っているとのことでした。
LCレンディング (LC LENDING)
LCレンディングはJASDAQ上場のLCホールディングスの100%子会社です。
ロジコムという社名のほうが有名かもしれません。不動産会社です。
この日紹介された5社の中で、配布資料が一番充実していました。
マンガももらったので、その中で気になったところをまとめてみます。
マンガによると、不動産会社は、転売すれば儲かると分かっている商業施設を購入するための資金をソーシャルレンディングで募ることがあるそうです。
転売して短期で売れば儲かるので、高い金利で借りても元が取れるというわけです。
このような物件は、銀行からお金を借りようとしても審査に時間がかかり、他の人に先に買われてしまう恐れがあります。
そこで、金利が高くてもソーシャルレンディングを活用するというわけです。
ソーシャルレンディングはインターネットを活用しているので、銀行よりもコストが安いです。これもソーシャルレンディングの利回りが貸し手から見ると高い理由です。
銀行は金利が低いですが、その代わり担保の掛け目*1がきついので投資資金の全額を賄えません。
今までは足りない分を自己資金(エクイティ)で補っていましたが、ソーシャルレンディングでメザニンローン*2として調達することにしたそうです。
*1 掛け目: 担保として評価する際の比率のこと。例えば、1億円の不動産の担保価値を7000万円とした場合、掛け目が70%になる。銀行は担保を厳しく評価する傾向にある。
*2 メザニンローン: 借り手がお金を返済できなくなったとき、まずは通常の借り入れ(シニアローン)の債権者(主に銀行)に返済し、余った分を、メザニンローンの債権者に返済します。そのため、メザニンローンはシニアローンよりリスクが高いが利回りも高いです。
ソーシャルレンディングは、投資先についての情報が秘匿されていることが多いですよね。
しかし、LCレンディングは母体が上場企業なので情報公開もしないといけません。そのため、不動産ポートフォリオがオンラインで公開されています。ここから投資先を推測することも可能だとか。
2016/8/3開催 個人投資家向けIR説明会スライド資料 PDF24P(1656kb) P12より
おわりに
本日紹介した中で、maneo以外のソーシャルレンディング業者についてはmaneoからも一部の案件に投資することができます。
今のところ元本割れはありませんが、ソーシャルレンディングに全額投資をするのではなくて、ポートフォリオの一部にしておくことを推奨します。分散投資することが大事です。
分散投資先は株や債券がありますし、オーナーズブックやトラストレンディングといった他のソーシャルレンディングに投資するのもおすすめです。どちらも口座開設・維持費が無料です。