帰省

サラリーマンは、自営業者のように実費でかかった必要経費は、原則として認められていません。
どこかで節税対策はないのかな、、、ちょっと待ってください!
単身赴任や資格取得を考えている方、転居した方、高いスーツを買ったサラリーマンへ朗報です!

一定の金額以上という要件はありますが、帰宅費用や資格取得費、転居にかかった費用、スーツ代などの費用を個人で負担していれば、経費として認められます。
これを特定支出控除といいます。
経費を増やすことが可能なんです。経費が増えれば、所得が減り、結果として税金が返ってきます!

この制度は単身赴任の方や、資格取得費用を個人で負担している方は要件に当てはまりやすくなっているので、ぜひこの制度を知っておいて、利用してください。

近頃、給与所得控除(サラリーマンの必要経費)を下げようとしている議論もよく見ます。
要するに、現行の制度よりサラリーマンの必要経費を減らすことで、サラリーマンの税金をあげようという議論が行われているということです。
給与所得控除が下がれば下がるほど、経費が少なくなりますから、税金は上がります。

しかし、給与所得控除が下がれば、給与所得控除の半分を金額の要件としている、特定支出控除という制度が使いやすくなります。(詳細は後述します。)
そのため、概要だけでも把握することは今後の家計にプラスになります。

サラリーマンの必要経費~特定支出控除~

サラリーマンの必要経費は、原則として給与所得控除のみです。
給与所得控除は全国一律で、どの業種や職種も同じ額のため、ある意味では公平な制度となっています。

一方で、会社員であるうちには、色々な生活環境の変化があったりします。
転勤があったり、資格が必要となったり。そういった、個人の生活環境の変化は、給与所得控除では考えてくれません。

そのため、給与所得控除以外にも特定支出控除という制度を作ったわけです。
特定支出控除は、業務や職務に直接必要となる個人負担の費用を経費として認めるという制度です。

特定支出控除を使うためには4つのハードルがあります

ハードル1~金額要件を満たせ!~

まず、個人で負担するお金は、給与所得控除額の半分以上でないと特定支出控除は認められません。
「え~給与所得控除の金額を計算するの?面倒。」という方に向け、年収別に特定支出控除が認められる!という金額の目安(以下、「適用判定基準額」とします。)を紹介しておきます。
「適用判定基準額」を超えて支出すれば、特定支出控除が認められ節税になります。

年収給与所得控除額適用判定基準額
2,000,000780,000390,000
3,000,0001,080,000540,000
4,000,0001,340,000670,000
5,000,0001,540,000770,000
6,000,0001,740,000870,000
7,000,0001,900,000950,000
8,000,0002,000,0001,000,000
9,000,0002,100,0001,050,000
10,000,0002,200,0001,100,000

表は1000万までしか記載していませんが、2000万だろうが、1億だろうが、110万以上を自己負担すれば、制度の適用が可能となっています。
面倒くさがらず、ぜひ、確定申告をして税金を取り戻してください。

ハードル2~認められる費用を理解せよ!~

どのような個人負担の支出が特定支出控除として認められるのでしょうか。
次の費用です。

  1. 通勤費(一般の通勤者として通常必要*であると認められる通勤のための支出)
  2. 転居費(転勤に伴う転居のために通常必要*であると認められる支出)
  3. 研修費(職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出)
  4. 資格取得費(職務に直接必要な資格を取得するための支出)
  5. 帰宅旅費(単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要*な支出)
  6. 図書費、衣服費、交際費等(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円まで)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの

上記6つの費用に該当するものについては、積極的に自分の名前で領収書をもらい保管しておいてください。

単身赴任などで、帰宅する旅費が高い方や、業務に直接必要な資格取得を考えている方は、多額になる場合もあり、特定支出控除が適用できる可能性は高いでしょう。
また、営業マンなどで、得意先の接待を自己負担した場合なども特定支出控除が認められる場合があります。スーツを普段着る職場であればスーツ購入費も認められます。
資格については「この資格は職務に直接必要な資格なので、特定支出控除を認めてもらえますか?」と事前に会社に聞いた方が無難かもしれませんね。

*「通常必要」というのは、社会通念上といって、常識的に認められる限度のことを言います。帰宅旅費であれば毎週末、帰宅する程度(月に4回程度)と考えられます。

ハードル3~会社の証明をもらえ!~

特定支出控除の制度を使うには、会社の証明が必要となります。
これは業務に必要なんだよ、という会社の証明をもらいましょう。
(なお会社の証明をもらうときは、領収書は原則として必要ありません。領収書が必要となるのは確定申告時です。)
証明書は給与所得者の特定支出控除に関する証明書で入手できます。
国税庁のサイトにいき、ご自身で印刷のうえ、該当する費用の証明書をもらいましょう。

昔と違って最近では、会社の福利厚生も悪くなっており、個人負担が増えている傾向にあります。これは今後もますます続くことだと考えられます。
個人で負担している帰省費用などもバカになりません。資格を取得する費用だって自己負担が多いです。
正当な権利ですので、会社の証明については、もらえるものはもらって、確定申告で税金を取り戻しましょう。

会社だって、自己負担で業務に必要なものを出しているとわかれば嫌な顔はしません。
業務時間外に業務に関係する自己啓発などをしているということは、それだけで「優秀」です。
単身赴任などで帰省している費用も当たり前ですが、嫌な顔はしません。そもそも会社の都合ですから。

ハードル4~確定申告をしろ!~

確定申告をしないことには、税金は安くなりませんし、還付もされません。
特定支出控除が適用できるなら確定申告をぜひしてください。

年収700万の人が帰宅費用に120万、交際費やスーツ代に30万かけたとします。(いずれも自己負担で会社に証明済み)
そうすると特定支出控除は120万+30万=150万となります。
表によると、年収700万の適用判定基準額は95万でしたので、150万-95万=55万となります。

この分が給与所得控除以外に収入から差し引けるわけで、所得税と住民税、合わせてざっと、16万以上の税金が返ってくる計算になります。
ぜひ、活用してください。

まとめ

特定支出控除は、サラリーマンの必要経費を上乗せする制度です。経費を増やすことで、税金が還付される制度となっています。
転居費用、単身赴任での帰省費用や資格取得費用を自己負担で支出する場合(ハードル2で説明)は、金額が大きくなるので、特定支出控除が使える可能性は高くなります。
特定支出控除が適用できる金額以上(ハードル1で説明)であれば、忘れずに会社の証明をもらい(ハードル3で説明)、確定申告で税金を還付(ハードル4で説明)してください。