手取りアップも?!税理士が教える、手取り額計算の仕組み

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

給料額面からいろいろ引かれすぎていない?!

共働き貯金.comでは貯金をするために有用な方法を紹介しています。
税金や年金保険の支払いは、一生関わってくるものであり、マイホームなどよりも高いと言われることもあります。

しかし、給与明細などをみて漠然と「税金とか保険って高いなぁ、どんだけ引かれているの?」と思うだけで、仕方ないと諦めてはいませんか?
お金を貯めたい!と思っているなら、この「給料から引かれている項目」についての知っておくと、給料の手取りを増やすことができるかもしれません。
この記事では、税理士が、給料からどんなものが天引きされているか、簡単にご紹介します。

給料から引かれる項目

お金ザクザク

本来はあなたが納付書などで支払うべきところを、会社が給料から天引きする形で会社が納める仕組みになっています。
そのため、会社員であれば、何をどれだけ払っているか把握できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

給料額面から引かれる項目はたくさんあります。
一般的には、以下の6つの項目があります。

  1. 所得税
  2. 住民税(前年所得を基準にかかる)
  3. 健康保険料
  4. 介護保険料(現行では、40歳以上が支払う義務あり)
  5. 厚生年金保険料
  6. 雇用保険料

他にも控除されている方もいらっしゃいますが、一般的にはこのような項目が引かれています。
この控除項目の金額を減らせば、額面給料から残る金額は増えるわけです。
したがって、手取りアップを狙うのであれば、控除項目の金額を減らすことです。

手取りアップの対策

先に簡単に対策を書いておきます。
所得税の毎月の控除金額を減らすためには、以下の方法が挙げられます。

  • 扶養を増やす(両親など)
  • 配偶者を扶養の範囲内にする

年末調整(12月に税金が還付されていることがあったかと思います)での還付額を増やす+住民税の控除を減らすことを考えるならば、以下の方法が挙げられます。

  • ふるさと納税をする
  • 確定拠出年金を掛ける
  • 生命保険に加入する
  • 個人年金保険に加入する
  • 地震保険に加入する
  • 住宅ローン控除を適用する(初年度は確定申告が必要)

ちなみに、医療費控除などを利用して還付を狙うことも可能ですが、確定申告が必要です。ここでは極力、確定申告などを行わずに会社でやってもらうという観点から、方法を挙げてみました。

社会保険料(健康保険料、介護保険、厚生年金、雇用保険)の控除額を減らすためには、以下の方法が挙げられます。

  • 3月、4月、5月の残業を減らす
  • 会社から極力近いところ、交通費が安いところに引っ越す

対策としては、こんな感じですが、その根拠については、順番に説明していく中で紹介していきます。

給料控除項目の説明と計算方法

具体的に金額を出していきたいと思います。前提条件は以下の通りです。

【前提条件】

  • 東京に勤務しているAさん。会社員なので、協会けんぽの健康保険制度に加入しています。
  • 額面給料35万円(4月、5月、6月の報酬の平均額、通勤代も含む)
  • 41歳
  • 扶養家族が1人(配偶者)

以上の前提から、今年9月給料額面35万円(交通費込み)の給料控除項目の金額を算出してみます。
順番は社会保険料(健康保険料、介護保険、厚生年金、雇用保険)を計算し、所得税が決定します。
*16歳未満の子供は、現在の税金の仕組み上、扶養家族にはなりません。40歳以上は介護保険がかかります。

健康保険料

病気やけがなどの医療費負担を軽くするものです。
保険料は「標準報酬月額」×「保険料率」で計算し、これで算定された保険料は、その年の9月から翌年の8月までの1年間利用されます。
よく労使折半と言いますが、会社と従業員で半分ずつ負担します。

「保険料率」はあなたがコントロールできません。あなたが健康保険料は出来るだけ安くしたいと考えるのであれば「標準報酬月額」を少なくしていくしかありません。
「標準報酬月額」というのは、4月~6月の報酬の平均額です。4~6月の給料額面が少なければいいわけです。

一般に残業の締め日と支給月は1月ずれていることが多いので3月4月5月の残業が少なくなれば、この標準報酬月額が下がります。
また、「標準報酬月額」というのは、会社へ勤務するための「交通費」も加算します。会社が負担していることが多いこの「交通費」。
これが安くなると標準報酬月額は下がります。

いずれもなかなか自分で決めることが難しいですが、4~6の3か月は残業代が少なければ保険料は安くなる、会社から近ければ保険料は安くなることは、知っておいてもソンはしないでしょう。

健康保険料と介護保険料の金額はセットで求めますので、次に介護保険料を見ていきましょう。

介護保険料

介護保険とは、寝たきりや認知症などで自力での生活が困難になった場合に、「介護サービス」を受けることができるものです。
介護保険料は40歳から負担します。

健康保険と同様、「標準報酬月額」×「保険料率」で保険料を計算します。
早速ですが、健康保険料+介護保険料の金額を算出してみます。

保険料の求め方の基準となる、「保険料額表」というものがあります。これは平成28年度保険料額表から見ることができます。
Aさんは東京に勤務しています。都道府県によって、健康保険料などが違うため、会社が加入している東京の保険料額を見る必要があります。

今回は9月分なので、9月分の保険料額を見てみます。

kenpo

報酬月額という列をみてください。Aさんは35万円が標準報酬月額なので、35万円以上のところです。
一番左に、等級25(21)と記載されていますが、これは無視して大丈夫です。

Aさんの場合は、介護保険の負担も必要なので「全国健康保険協会管掌健康保険料」という列の「介護保険第2号被保険者 に該当する場合」にあたります。
健康保険+介護保険で全額41,544円、折半額20,772円と書かれています。
このうちAさんの負担額は折半額の20,772円となります。

厚生年金保険料

厚生年金は老齢での退職、障害又は死亡した場合に、本人や家族が年金を受給するものです。

保険料は健康保険と同様、「標準報酬月額」×「保険料率」で計算します。
上の「保険料額」をもとにAさんの厚生年金保険料を求めてみます。

Aさんは一般のサラリーマンなので「厚生年金保険料(厚生年金基金加入員を除く)」の「一般の被保険者」にあたります。
厚生年金保険料は全額で65,455.2円折半額は32,727.6円です。

0.5円を超える場合は、切り上げなので、Aさんの負担額は折半額32,727.6円→32,728円(一円切り上げ)となります

雇用保険料

雇用保険は失業した時に再就職までの生活を安定させ、就職活動を円滑に行える様に給付するものです。
保険料は、平成28年の一般事業の場合、給与総支給月額に雇用保険料率1.1%を掛けて算出します。これを事業主が0.7%、従業員が0.4%負担します。

Aさんは35万円×0.4%の1,400円の負担となります。

 

社会保険料のまとめ

以上より、35万円の給料のAさんの社会保険料(健康保険料、介護保険、厚生年金、雇用保険)は
健康保険料と介護保険料の合計20,722円+厚生年金保険料32,728円+雇用保険料1,400円=54,850円となります。

これだけ控除されます。
ちなみに会社は56,600円負担しています。
派遣という雇用形態がどんどん増えていることには、こういう背景があるのかもしれませんね。
(派遣社員の社会保険料は、派遣されている先の会社ではなく派遣している会社が支払います。)

所得税

「源泉徴収税額表」に基づいて、毎月引かれます。平成28年分の源泉徴収税額表はこちらで見れます。
ここでは源泉徴収税額=前払いして毎月支払う所得税と考えていただいて結構です。

今回はこの「源泉徴収税額表」をもとに控除金額を出してみます。
(数式を入れて源泉徴収税額を求めることも可能です。どちらも源泉徴収税額の金額にそこまで変更はありません。)

源泉徴収税額表

 

給料が35万円で、社会保険料(健康保険料+介護保険料+厚生年金+雇用保険)が54,850円なので、「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」は295,150円となります。

この金額は293,000円以上~296,000円未満に該当します。

また、会社員は原則として、甲欄というところで源泉徴収税額を算出します。
Aさんは扶養親族等の数が1人(配偶者)なので、6,520円となります。

以上より、Aさんの所得税の控除額は6,520円となります。
この表を見ると、扶養親族等の数が多ければ多いほど、源泉徴収税額=前払いして毎月支払う所得税が少なくなります。
扶養親族等を増やすことは、月の手取りアップにつながるということです。

ここで、この「源泉徴収税額表」の意味を簡単に説明します。
これは、毎月これぐらいの所得であれば、一か月で税金をこの金額だけ払う必要があるかな。だからその分はあらかじめ給料から控除しといてね。という表です。
皆さんの給料から毎月、源泉徴収税額を会社が預り、税務署に納めることで、一年間の所得税を、毎月に分割して納付しているわけです。

こうやって毎月、前払いで所得税を支払っているので、年末調整の12月のときに、実際の年間の所得が確定し、これぐらいになったから、還付しましょう、とか追加で納付しましょう、ということが起きるわけです。
12月に還付や追加納付で手取りが多くなったり、少なくなったりするのは、こういう理由なんです。

 

仕組みはこんな感じになっています。
では年間の手取りを増やすためにはどうすればいいでしょうか。
これは、年間所得が確定する12月に「手取りアップの対策」で紹介した方法で、年間所得を減らせばいいんです。
結果として、毎月、分割納付されている源泉徴収税額が還付され、結果として年間の手取りアップが見込めます。

住民税

「前年の課税所得」に基づいて計算され課税されます。Aさんが住んでいる自治体から、Aさんが勤務している会社に納付書が来ます。
そのため、こちらはあらかじめ金額が決まっています。

例えばAさんの場合、前年の年収が500万だとすると、概算で住民税は21万円ぐらいになります。毎月17,500円給料から天引きされます。
「手取りアップの対策」で、紹介した方法で所得を減らせば、住民税の控除額は少なくなり、結果として手取りアップが見込めます。
ちなみに退職などをして無職になった場合は、前年の住民税を自分が払うことになるため、負担が大きいです。

自分で支払うと、こんなに支払っていたのかと、驚愕するかもしれません。

手取り額のまとめ

これまでで、Aさんの9月分の手取りを計算してみましょう
給料額面350,000円-社会保険料54,850円-源泉徴収税額(所得税)6,520円-住民税17,500円=271,130円

35万円のうち77%の約27万円が手取りとなっています。23%の約8万円が給料から天引きされています。
これが多いか少ないかは別として、手取り額計算の仕組みのご紹介でした。




会社も給料の計算を誤る?

以下はおまけです。
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」
孫氏の兵法ですが、相手と自分のことを正しく知れば、戦に負けることはないという有名な教えです。
戦いの例えで出したようですが、戦いだけでなく、色々な場面で使えます。

要するに相手の目線にたって考えるということですよね。ビジネスの本質も同じような気がします。
ではまず、給料の天引きを行っている相手を知りましょう。会社が給料を振り込むまでの流れを見てみましょう。

一般的に、給料計算は会社の人事部や総務部で行っています。
人事部や総務部が計算し、経理部がチェックし、給料を振込するための上司の決裁が終わった後、給料の振込担当者が振込ボタンを押す。
給料の支払いまでに色々な部門が関わっています。

ちなみに、給料支払もシステムで自動的に行っている会社も多いですが、残業代などでも結構変わりますので、誤っていることがあると思います。
会社の給料計算は、色々な部門が絡んで、手続きも複雑になり大変なんです。給料の支給額を誤ることもあります。

私も新卒で民間企業に勤めていたことがありますが、そこも給料の支給額を誤っていました。大きな会社でも間違います。
(疑問に思ったので、総務の人にさらっと相談したことで発見できました。)
どんな企業でも誤っている可能性があるということです。

なので、いつも確認するクセをつけて、疑問に思ったことは簡単に調べたうえで、人事に軽く相談するだけでも、手取りが1万円増えることもあるかもしれませんね。




  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*